桃太郎俳優Ⓡ神木優マウントレーニア公演直前インタビュー

桃太郎俳優、桃太郎研究家という一風変わった肩書きを持つ俳優がいる。

日本で最も知られている童話と言っても過言ではない桃太郎のみを題材に、
一人芝居、落語にコントと様々な趣向で発展させる彼の表現の引き出しは常に観客の予想を上回り、
そして各地を巻き込んでゆく。

彼の人懐こくも説得力のある不思議な魅力と、そして今何故桃太郎なのか?その秘話に迫りたい。

 

MOMOTARO俳優が生まれたきっかけ

まず「俳優としての代表作が無い」ということが大きな動機でした。

数多の役者がひしめく芸能界で、ドラマに出ても舞台に出ても主演にはなりえない。

だから自分一人でやれば、そのものが代表作になるだろうと。

「一人でやることってなんだろう」と考えた時に、落語だ!と。

そして師匠である五明樓玉の輔さんから教えてもらったのが、桃太郎だったんです。

その前に、芥川龍之介の作品でも桃太郎という題材があって、以前朗読したことあったんですね。

その中では、桃太郎が悪だという筋書なのですが、正義じゃない桃太郎もあるのかと、
そこで様々な桃太郎の在り様を知ったんです。

それらにもう一本、桃太郎に関わる話を書いて、三部作として発表したのがこの活動の始まりです。

 

元々、「桃太郎好きが高じて」ではなかった?

いえいえっ、元々は皆さんと同じくらいの好きレベルですよ、
「え、桃太郎?知ってる知ってる、それで?」っていうくらいもんで。

その後、三部作の次は五部作にパワーアップしようとコントを加えようとした時に、
ものすごい量の文献を調べたんですね。

調べると調べるほどに全国に無数の桃太郎伝説があるということを知った。

桃が流れない話、桃の代わりに箱が流れる話、切ったら桃ごと子供も切れてしまう話もある。

室町時代に生まれたと言われるこの物語は、当時はもちろんTVもインターネットも無いわけですから、
娯楽が少なかった。

そんな中、皆が一つの物語を題材に、創作して披露し合い盛り上がったんだと。

そうして色んな桃太郎が方々各地で生まれたことが、今日の多種多様な桃太郎が成立している由来かと。

桃太郎から日本の歴史を遡ることになり、自然と民俗学にも行き着くことも面白さの一つです。

何故桃なのか?いつから桃なのか?そもそも桃から生まれていない話もありますからね。

 

神木さんの知る最古の桃太郎とは?

僕の知りうる最古の発祥は、不思議な桃を食べた老夫婦が若返り、子を宿したという物語です。

もっと言えば、桃が神秘な力を宿していると考えられるようになったのは古事記・日本書紀まで遡りますし、
その源流は中国から来た西遊記や、インドの経典ラーマーヤナとも言われている。

そうなると、仏教や陰陽道、六道等のエッセンスも含まれているかも知れません。

現存する子供向け童話も一つの形ではありますが、当時は元来、大人が楽しんでいたものだと思っています。

 

桃太郎研究家の確立、冠公演のシリーズ化、海外進出、山梨県の観光大使任命と来て、さて今後の展開は?

誰もが知っている桃太郎はキャッチーでパワーフレーズではありますが、誰もが知っているからこそ、
「どうせ桃太郎を読むだけでしょ」と先入観も持たれてしまいがち。

だからこそ僕は桃太郎を通じて、日本文化も伝えたいと思っています。

今回、5月12日に控えるマウントレーニア公演ではソロアクトに加え、
大衆演劇界から松井悠さんと、内堀克利さん率いる殺陣集団10・Quatreをゲストにお招きし、
桃太郎と大衆演劇、本気の立ち回りをお届けします。

噺家でも落語家でもない僕ですが、僕をきっかけに寄せに行ってもらうように、
今回も日本が誇る素晴らしい大衆演劇や立ち回りも広まってくれれば。

 

桃太郎を軸に皆を繋ぐ、エンタメ界のハブ的存在に

この活動の丁度3年目を迎えた時にある狂言師の方に、
「お前の活動は面白いアイデアだが軸が無い」とご指摘を頂きました。

その時、せっかく日本最強童話を使わせてもらって活動しているのだからと、
僕は大見得切って「日本文化を背負います」と言ったんですね。

でもそこから色々考えるようになったんです。

意識的に津軽三味線や尺八とコラボしたり、積極的に海外に行こうと思ったり。

もちろん、俳優としても大成したい、もっと生の演技を見て欲しいといった思いはあります。

ただそれだけじゃなく、この素晴らしい日本文化を広めたい、
日本人こそが知らないことに対する提起でもあるんです。

 

最後にCOLORS読者に向けてメッセージをお願いします

昨今、現代人は本当に笑わなくなりました。

僕がとにかく伝えたいことは、「エンタメで笑いませんか?」ということ。

TVやインターネットも便利だけれど、生の人の動きで笑い、共有し、隣の人と笑い合い手を叩き合う。

ヴァーチャルの時代だからこそ、生の空気を共有してもらいたい。

最近は「観劇をデートに使って下さい」とも言っているんです。

一回一回が生の舞台は、本当に二人にとって一生の思い出に残るはず。

笑いなんて、衣食住に関係無いし、スルーしても生きていくことは出来る。

でも娯楽がある意味は、人生をより豊かにする為だから。

つまりエンタメは「人を幸せにする為だけ」に存在するもの。

「笑いたい、幸せになりたい」が分からない時代だからこそ、まずは笑いがある所に来てくれればいい。

この国でこの場所に来てくれた人を一人でも幸せにする、

笑顔で帰って頂く場所を作ることが、今の僕のミッションに変わっています。

桃太郎はそのきっかけでいいんです。

 

話を聞いていて、桃太郎一つの題材でここまで様々な表現手法を広げられてきたからこそ、
俳優業のこやしとしても還るものがあり、
また共演者、観客含め、関わった人々の幸せにも広げて来れたのだろうと感じました。

本来自分の為に始まったはずの桃太郎の、いや、神木さんの仲間集めの旅。

桃太郎は神木優という一人の青年の成長と冒険の物語でもあるのです。

 

神木優オフィシャルサイト:yuhkamiki.com

MOMOTAROマウントレーニア公演特設ページ:http://www.yuhkamiki.com/momotaro2018-512.html

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