ヌーヴォーの楽しみ〜南アフリカ〜

こんにちは。

柴原史佳です。

 

今年の夏は酷暑で、暑さがとてもこたえる毎日ですね。

もう少しで、秋の訪れを感じられる季節になります。

待ち遠しいですね。

季節の移ろいとともに、ワインも飲むタイプを変えてみたり、変化しながら楽しめるのは、日本ならではの季節感かと思います。

 

さて、これから冬にかけては何かとイベントが続き、ワインをのまれる機会も増えてきますよね。

ワインのイベントといえば、多くの方がイメージされる一つが「ボージョレ・ヌーヴォー」ではないでしょうか。

ボージョレ・ヌーヴォーとは、フランスブルゴーニュ地方に属するボージョレ地区でつくられる新酒(ヌーヴォー)です。

毎年11月第3木曜日から販売が許可され、日本でも毎年メディアで取り上げられるほどメジャーなものになっています。

ただ、日本酒でも新酒があるように、ボージョレ地区だけでなく、さらにはフランスだけでなく、世界で新酒が作られてリリースされています。

今回は新酒のリリースでは世界でも速いものをご紹介させていただきます。

 

南半球でのワインづくり

 

以前にも、新大陸と言われる地域でのワインやワインづくりが、日進月歩で向上しているというお話をいたしました。

その中で、今回注目したいのが「南アフリカ」です。

数年前に比べると、レストランやショップでも南アフリカのワインを目にする機会も多くなりました。

南アフリカでワイン、ということに関してなんとなくどうなのかな?と思われている方もいるかもしれませんね。

なんせ、南半球でのワインづくりなので。

ですが、実はワインづくりは17世紀頃からの歴史をもち、1994年のアパルトヘイトの廃止を乗り越えて、海外への輸出生産も広まっています。

また、ワインづくりが始まって少し経った頃に、フランスのロワール地方の宗教的な迫害を受けた人々が移住し、入植したのが南アフリカでした。

これに土壌や気候などの好条件、さらには世界で初めてサスティナビリティを用いたワインづくりもあり、注目されるワイン生産地になっています。

※サスティナビリティとは、減農薬や害虫天敵との共存、植物や生物多様性を保護するだけでなく、工業廃水を浄化し、労働者の安全や健康を守るなどの保証。認められたものには、サスティナビリティ認定保証シールがボトルに貼られる。

この南アフリカを代表するブドウ品種が「シュナン・ブラン」です。

先ほど述べましたように、フランスのロワール地方でも生産されるブドウ品種ですが、南アフリカではNo.1品種となっています。

 

 

こちらは

KWV Classic Collection Chenin Blanc 2016

麦わらのイエローカラーで、メロンのようなウリ科のフルーツを思わせます。

しかしながら、飲んでいる間に香りや味わいの変化が顕著で、シロップで煮た黄桃のようであったり、少しトロピカルな雰囲気を持ったり、緑がかった印象を残したりと、とてもユニークです。

こうした点は、ロワールのシュナン・ブランと異なり、南アフリカらしさにつながるのかもしれません。

普段シャルドネが好きという方にも飲みやすいシュナン・ブランではないでしょうか。

同じブドウ品種でも場所が変われば味も変わりますが、南半球ともなると季節が反対になるので、それもまたワインづくりとしても興味深いところですね。

 

世界最速?!ヌーヴォーを楽しむ

 

先ほどの通り、南半球では季節の反転と共に、ブドウの生育サイクルも北半球とは異なります。

通常北半球では9〜10月がブドウの収穫、そこから醸造工程に入るので、新酒は早くても1ヶ月程度してからのリリースになります。

これが南アフリカですと、2〜3月にブドウの収穫を行うので6月頃には新酒をリリースすることが可能になります。

イタリアやフランス、ドイツにオーストリアなどの新酒のリリースが10月以降なので、比べてみると、かなり早い段階で新酒を味わうことが出来るのです。

新酒は熟成よりも、ブドウそのもののフレッシュさを楽しめます。

その年のブドウの出来を確かめてみるというのは、現時点でのブドウの美味しさはもちろん、通常通りに熟成させたワインへの期待にもなります。

その年を占う、そんな感覚にもなりますね。

 

 

こちらが、2018年の南アフリカの新酒です。

KWV Cape Nouveau 2018

ブドウ品種はピノタージュ。

ピノ・ノワールとサンソーの掛け合わせ品種を100%使用しています。

ダークチェリーのようなしっかりしたカラー。レッドチェリーの香りにタンニンの落ち着きもあり、熟成香のバナナも感じられました。

軽やかで華やかですが、軽すぎず、多くの方に飲みやすい新酒です。

南アフリカの大地の動物を思わせるエチケット(ボトルラベル)もインパクトがあり、見た目と味わいのギャップも魅力の一つですね。

 

新酒というなの収穫祭

 

ボージョレ・ヌーヴォーがメディアでも取り上げられていると、冒頭でもお話しましたが、一時期ピークを迎えて、ここ数年は少し落ち着いてきています。

だいぶ浸透してきていますので、

ヌーヴォーは若すぎるからあまり。。

といったお声も実際にあります。

ワインはお好みなので、それぞれだと思います。

新酒はつい先日まで木になっていたブドウが、ワインとなってテーブルを彩ります。

このスピード感とブドウそのものをダイレクトに感じられるフレッシュさ。

私は新酒は、「新酒をいただくという収穫祭」だと思っています。

日本からどんなに離れた場所でも、収穫をお祝いできるなんて、素敵ですよね。

さらに、その土地の食事も少し意識して合わせてみるのも、この収穫祭の楽しみ方かもしれません。

 

 

南アフリカの郷土料理の一つ、ぐるぐるまいたスパイスのソーセージ「ブルボス」をイメージして、グリルソーセージをケープ・ヌーヴォーにあわせました。

エチケットにあわせて、南アフリカの大陸音楽を聴きながらお食事とともに楽しむことができました。

 

今回は最速の新酒として南アフリカのヌーヴォーをご紹介させていただきました。

同じ南半球で、チリなどでも新酒がリリースされてきています。

また、10月からは北半球の新酒も続々とリリースが始まります。

収穫祭として、また他の国の新酒もご紹介させていただきたいと思います。

ぜひ新酒を、待ち遠しい秋の楽しみの一つとしてくださいね。