ワインLoverを育てるために

こんにちは。
柴原史佳です。

4月に入り、新年度がスタートしました。
新しい生活がスタートしたり、新学期になったりと、何かと忙しくもウキウキする日々ではないでしょうか。
この季節は学びや教育もフューチャーされることが多いかと思います。
今回はフランスで見つけた驚きの教育についてのコラムです。

Salon de l’agriculture 2018

私は2月24日~3月4日の期間中にフランスのヴェルサイユで行われていた、「Salon de l’agriculture 2018」というイベントへ行っていました。
このイベントは野菜、魚、肉などの食品全般に加え、家畜や動物、農耕機械や梱包類など食にまつわるものがフランスの各地から1年に1度集まる、フランス人にも人気のイベントです。
フランスではワインは農産物としてカテゴリーされ、一大農産物の一つにあげられます。
そこで私は、ワインについて生産者さんへインタビューしたり、いろんなことを学んできました。
到底1日ではまわりきれない程巨大なイベント会場で、各パビリオンを回る中、とても興味深いものを見つけました。

自国を代表する農産物としての教育

「Pavillon des Vins」と書かれたこちらのブース。
大人のためのブースかと思っていたら、子供達がたくさんいます。

テレビ画面に向かって真剣にスタッフのお兄さんの話を聞く子供達。
ここでは、アニメーションを用いてブドウの栽培から収穫、そしてワインを醸造するまでと、ワインの簡単な歴史を説明していました。
手をあげて「どれくらい時間がかかるの?」と質問している子もいました。

アニメーションを見て学んだら、次は実際のブドウを見てみようということでしょうか。
実際のブドウの木も展示されていて、実際に近くで見たり、手で触ることもできます。

こちらには大きなフランスの地図を模したボードがありました。
これは、フランスで法律で定められ守られている原産地呼称を持っている地域が色分けされています。
AOCとは原産地呼称保護にあたる「原産地統制名称ワイン」。
IGPとは地理的表示保護にあたる「地酒」。

足元にはさらに大きくした地図がありました。
私達からみると難しいフランス地図に見えるかもしれません。
ですが、フランスの方からすると自分の国の地図。ましてや誇るべきワインの地図なので、大人も子供も指をさしながら食い入るように見ていました。
「ここが僕の住んでるところだ!」「ここのワインは美味しかったわね。」と家族で楽しんでいましたよ。

このAOCとIGPには分かりやすくするためにマークがあります。
AOPが赤いマークでIGPが青いマークです。
これを子供の頃からみておけば、ワインをみて分かることが増えていきますよね。
さらに地域別に詳しく書かれたものも、分かりやすく展示されています。

こちらはブルゴーニュ。
Chablis(シャブリ)やGevrey-Chambertin(ジュブレ・シャンベルタン)などブルゴーニュの全てのAOCとIGPが書かれています。
細かくGrands Crus(特級畑)やPremiers Cru(1級畑)のAOCにまで分けています。

こちらはボルドー。

こちらはローヌ。

そしてロワール。

これは1部ですが、フランス全ての地域の詳細が書かれていました。
フランスがワインに対して、農産物としてプライドと誇りをもって作っているということが分かります。
さらにアルコールだからという考えではなく、自国の農産物として大切な教育の一つにしていることも感じました。
ワインを勉強していると、ここで紹介されているような知識はとても大切な基礎知識として学びます。
ですが、子供の頃から家族と一緒に身近なものとしてふれていると、それは文化になると思いました。

ワインを美味しくするために

なんてすごい!と感心しきっていると、こんな不思議なものを見つけました。

このパイプ。蓋がしてあって、取って覗き込むとふわーんと何かの香りがします。
となりのふせられたプレートをめくると、「クレモンティーヌ」の絵がありました。
実はこれは香りあてゲームでした。
クレモンティーヌとはマンダリンの1種のオレンジのことです。
こうしたパイプがずらっとたくさん並んでいました。

小さな子供も大人もご年配の方も、みんな蓋をあけてはあたっているかチェックして楽しんでいました。
私もついつい試してみましたがどれもとてもいい香り。
ですが、これもただのゲームではなく、この香りはレモンやヘーゼルナッツ、ライチやトーストなど、ワインのアロマやブーケと呼ばれる香りを構成するものでした。
つまり、楽しみながらも五感を使って香りを記憶させるのです。
子供の頃に養われたこの記憶が、大人になってワインをのむと明確に美味しさを感じ取れるようにしてくれるのですね。
すごいを通り越して、うらやましいなと思いました。

日本では日本酒が国酒ですが、子供の頃から日本酒について学ぶことはほぼないのではないでしょうか。
ワイン、そして日本酒もですが、原材料の作り方や醸造の仕方を農産物にまつわる教育の一つとして子供の頃に学ぶ機会があれば、文化としてもっと広まり、多くの方に愛されるものになるのではないかなと思いました。